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環境問題であることはすぐにわかる。
ライン川の汚染がそれをもたらしたことは明らかであった。
ライン川に環境負荷を与えている犯人は誰なのか。
工業なのか、あるいは一般の人々つまり家計セクターなのか。
あるいは、農業なのか。
いろいろ調べた結果、農業が環境の加害者であることがわかった。
1970年代後半から食料危機のあと、食料の国際価格がぐんぐん上がった。
国際競争、市場メカニズムに対応する形で、もっと効率的につくろうとして、化学肥料をたくさんやってもそれに耐える高収量品種がつくられた。
例えば畜産でいえば、仮に1ヘクタールの農地でこれまではゆとりをもって牛一頭が放牧されるとする。
20ヘクタールがあれば20頭の牛を飼う。
これなら物質循環が完結する。
環境に優しいシステムで、何ら環境負荷を与えることなく営農ができる。
これを切って燃料として使い、建造物を建て、そして現代文明の先頭を走っているかに見えるのがアメリカの文明、そして日本の文明である。
瑞穂の国日本は、モンスーンァジァで、地球温暖化で異常気象が訪れても砂漠化することはないと思うが、とはいえ、生産力の高い緑をいま、ないがしろにしようとしている。
貴重な瑞穂の資源が着実に失われているにもかかわらず、それを支えようという政策も国民の意志もない。
これでいいのか、文明史の上からも日本農業のあり方が問われている気がしてならない。
加害者としての近代農業ことは先進国だけではない。
途上国はさらに深刻かもしれない。
一方で先進国の医療技術が入り、人口は増える。
しかしもう一方で食料生産は思うように伸びない。
限られた農地、限られた水資源のもとで不適切な生産方法をとれば、勢い、大地に、あるいは水利用に無理がかかる。
やがて塩害、地下水の枯渇、あるいは農耕地を放棄しなければいけない状況が世界各地で多発するようになる。
資源や環境問題と食料増産との悪循環が始まっているのである。
実際、穀物の期末在庫は減り続けている。
他方、世界の食料援助で救われる範囲は本当に限られている。
しかもアメリカはもうそんなことをやる必要はないとして、かつてのような恩情主義はいわなくなった。
日本はそもそも、お金はあっても輸出できる食料はない。
ヨーロッパもそんなにお人好しではない。
実際、世界人口の8割、やがては9割に達しようという途上国人農業生産の現場もまさにそういう状態である。
化学肥料をたくさん使うと土壌をどんどん酸性に変えていく。
そして有用微生物まで殺す。
化学肥料、農薬を使いすぎると、害虫だけでなく益虫も「ただの虫」も、生態連鎖でつながっているものをずたずたに切っていく。
ほどよい適度の範囲までであれば、自然の治癒力、回復力はかなりのものであるから、持続可能な循環システムの中で機能しうる。
その限界点を超して化学肥料や農薬に頼りすぎる状態が、今日の先進国がとってきた道なのである。
その結果、土が死ぬ。
野菜や人間までもが健全でなくなる。
ありとあらゆる食べ物が、本当に人類にとって豊かな、安全、安心につながるものになったといえるのかどう爽そろそろ真剣に反省しなければいけないところまで来た。
ブラウン氏が描くように、21世紀の最初の20〜30年が重要な鍵を握っていそうである。
短期的、短絡的に無理して食料増産すれば一時的には人類を養えるかもしれないが、その場合サステナプルではないから、やがてより早く人類の衰退がやってくる。
問題は、2003年の時点で世界がおかしな状況になったときに食料をつくる資源をもって、技術力もあって、外貨もあるからといって、豊かな瑞穂の資源を捨ててしまったという日本が、飢えに苦しんでいる人たちがたくさんいる地球上で自由に食料輸入を行うことが許されるのだろうか。
世界は市場経済のルールで今後も動いていくだろう。
しかし、厳しい国際世論が待ち受けているだろう。
人が飢えに苦しんで死んでいく、それが国際問題になっているときに、日本だけが豊かな食生活のために食料を買い占めるという構図は許されないだろう。
欧米諸国は自給率100%以上だからいい。
先進国の中で唯一大変心配なのは日本なのである。
日本は大丈夫かということである。
口の、3分の1から半分にも達する栄養失調予備軍たちに手を差し伸べることはできない。
エネルギーももちろんそうだが、食料確保は21世紀の地球環境を危うくする最大の要因といっても過言ではない。
ブラウン氏に聞いたことがある。
「あなたは地球の食料問題で、地球はフルハウスという言葉を使っていますね。
定員いっぱいだ、という意味ですが、人口の上限は70億人ですか、100億人ですか。
あるいは、150億人までのキャパシティーはあるんでしょうか」と。
彼の推計は80億。
そうすると11020〜30年頃が最も危ないということになる。
それ以上については自然淘汰ということになる。
それは戦争によってか、はたまたエイズか見知らぬ伝染病か何かわからないが、自然に食料不足とセットになって人類が淘汰されていく状況が生まれる食料安全保障というのは何も量を確保するという問題だけにとどまらない。
国内の農業が縮小するということは輸入分が増えるということだが、輸入が増えれば増えるほど、人々のもう一つの不安、食品安全性の問題が出てくる。
食の安全性について、日本人の約8割が、国産のほうが安心できる、輸入品は信頼ならないと答えている。
品質の安全保障という点で、輸入に極端に依存することに、国民は直観的に危険を感じている。
それには一つの根拠がある。
われわれは無意識のうちにスーパーやコンビニで輸入食料を買って食べているが、これまではほとんど表示がなかった。
私は早くから原産国表示をもっと徹底的にやるべきだと主張してきた。
近年、ようやく大手スー。
ハーなどで表示するようになったが、輸入品かどうかこれまではわからなかった。
ましてや、姿、形を変えて、加工品になると全くわからなくなってしまう。
そういう状況の中で輸入品が氾濫している。
なぜ輸入品が問題とされるのか国産とどこが違うのか。
これには、2つの安全性にかかわる問題がある。
生産段階でどれほど化学資材を使っているか、残留農薬の程度はどうかが−つ。
もう一つは、ポストハーベスト処理農薬、すなわち貯蔵・加工・流通・品質維持のため収穫後に行われる化学資材の投入である。
日本は幸か不幸か、四方を海に囲まれて、世界の主要産地から非常に遠い位置にある。
船で運ぶとすれば二週間はかかる。
太平洋にせよ南シナ海にせよ、赤道近くを通る。
植物は生き物なので、高温多湿状態の中で、野菜、果物、食肉をよりフレッシュで安全な形で持ってこようと思えば、当然、腐敗防止や鮮度保持のためにかなりの化学処理をやらないとニ週間はもたない。
本物の味をわかる人は気がつくはずだが、そこまで日本人の舌はもはや肥えていない。
あるいは、旬とか季節とか、本物の味そのものをもう忘れてしまった。
農業と環境との付き合いを無視して遠方から運んできて、化学処理をしてという状態の中で、今日の「豊かな」日本の食卓がある。
本来、農業と環境は、お互いに手をつないで仲よくやっていかないと持続可能とはならない。
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